月とボウイと無人のカウンター

デヴィット・ボウイが死んだ

そして僕はまた1つ歳をとった

初めて歳をとるのを“イヤダ”と思った・・・

 

背中に住んでるちっちゃいヤツが騒ぎだす

立ち並ぶ煙突が大声張り上げ叫んでいる

“時間は無限じゃない!有限だからな!”

と言ってくれたあの恩師は今や夢幻

“時間”が希薄になっている感覚は“なっている”にしているだけのオハナシ

話にならないオハナシ

 

残された時間はいかばかりか

僕と墓石の間に横たわる時間を無駄に削り取った5年間

新しい言葉は未だ見つからない

輝いて見えるのは月世界の白昼夢

スターマンはニヤリと笑う

彼の待つ宇宙は遠すぎて僕には彼の光が見えない

 

どこへ向かおうか

意味のないつぶやきは煙草の煙と共に消える

それは簡単な事じゃない

君が先導してきたあらゆる不思議について考えよう

無人のカウンターを目の前に

病みは闇となり目を開くのを諦めた

 

絶望からの脱却は

暗闇と恥辱の歌が聞こえる

歌は終わることなく夜通し鳴り響き世界が裏返る

ありとあらゆる僕を抱えたまま

眠りに堕ちる事なく恋に落ちる事なく

君の意志のままに地に堕ちた

 

精神崩壊制御不能

屈折する星屑は自尊心を愛し

僕の心にだけ引き込ままれていった成れの果て

もたれかかるな

寄りかかるな

お前には味わう時間がないじゃないか

 

何かしらの決断を

たとえ何であろうと誰であろうと

あなたは存在していたはずだ

たとえいつであろうとどこであろうと

あなたは見ていたはずだ

すべてを受け入れてすべてを終わらせよう

 

背中に住んでるちっちゃいヤツが騒ぎだす

シニカルなセリフを探せ

偽善を捨てろ

感謝さえ伝えられない末期症状

たったそれだけの事

それでもどうにかして僕は僕を救う

 

 

2016 1 20 12:42

須藤 利浩