夢の続き・・・

十数年前のあれは確か誕生日だった。

まだ20代前半の“小僧”だったあの時僕は“夢”をもった。

寝てる時にみる類のものではなく、現実に叶えるべき夢。

 

その日僕は“採用”という運命の電話を待っていた。

オフィスLOVEの終焉に伴い、予てから考えていた仕事のグレードを上げる事を実行に移す為に仕事を辞めて半年、季節は夏から秋を経て冬へと変わっていた。

 

電話が鳴る。心を落ち着かせ3コールで出た電話口から聞こえてきたのは“不採用”という信じ難い響きだった…

“呑んだくれるしかねーな”と開き直り、家にこもって呑もうとしたその時、またしても電話が鳴った。

電話の主は友広であった。

「須藤何してるん、呑みに行こうや」

そんな気分じゃないと断る僕を

「何言っとんねん!奢るからそんな時こそ出てこいって!」

と一喝しながら執拗に誘ってくれる想いに感謝しつつ出かけることにした。

実はこっちが運命の電話だった事に気付きもせず…

 

確か伊丹のBARだった。

それまで他愛のない話をしていた友広が声のトーンを変えた。

「なあ須藤。一緒に店やらへんか?オレ料理やるから。お前酒好きやんけ。バーテンダーになれや!」
「・・・」

この話は初めて出た話ではなかった。

冗談っぽく数回言われていたが今回はマジだ。

実は“不採用”電話のあと一瞬だけ自分の頭の中をかすめてもいた…

 

迷った時は・・・“やれ”・・・やな!

友広が本気で言うなら本気で応えよう!!

こうして僕の夢が始まった。

 

お互いの進むべき道が見え始めた頃から“一緒に店を”という想いは消えた。

働いていた店のほとんどがもう存在すらしていない。

幾度となく凹み、もうやめようかと迷い、時に業種を変えながらも

結局“自分の店を持つ”という想いは消えかけながらも消える事なく

2011 12 16 念願の自分のBARをオープンした。

今まで働いたお店の中で1番思い入れの強かったBAR土偶での精神のような想いを高めながら引き継いでいきたいという事で…

大好きな漫画“じゃりんこチエ”に登場するコテツの額の三日月を合わせた事で…

スペルの違いはあるがクレイジーのクレイと月を夜の象徴と捉え“気狂いの夜”という事で…

土偶=clay figure からclayを貰い屋号はCLAYMOON(クレイムーン)とする事にした。

 

叶えるべき夢を叶えた今

僕は夢の続きを歩いている。

薄々気付いてはいたがやはり“夢の続き”は光輝くバラ色の道ではなかった。

いつまでも険しく、常に恐怖と隣り合わせ。

1つ確信した事。

それは“道は歩くものではなくて歩いた軌跡が道になる”という事。

 

BAR CLAYMOON 1周年。

12月の事故により3ヶ月遅れという大失態にもかかわらず来て頂いた皆さん

本当にありがとうございました。

たかが1年はされど1年。

色々な人に助けられ、やっと“ここ”まで辿り着く事ができました。

何かが足りない事を突きつけられた当日の営業
新店なのか移転なのか目の前にある人生を左右する大問題
一緒に呑んだくれながら屋号を考えてくれたシ○バを飲食業に引き戻す事
自分の周りの大切な人を幸せに
そして何より自分の人生の充実・・・

背負いたいのに背負い切れない山積した諸々の課題達を眼前に睨み

1年と3ヶ月という中途半端な区切りとなりましたが

今歩いているこの道を迷う事なく、ぶれる事なく

ご機嫌な軌跡となるように歩いて行こう!!

 

僕の知る、僕を知る全ての人に感謝します。

ありがとうございます!そしてこれからもよろしくお願いいたします。

 

我が道を 歩み続けて 四十路へと 踏み入れしまだ 夢の中頃

お粗末ってか1年早いな・・・

 

2013 3 25 9:58

須藤 利浩

 

 

 

風は吹くのか?桶屋は儲かるのか?

“風が吹けば桶屋が儲かる”という言葉があります。

風が吹く

砂ぼこりがたって目に砂が入る

目を患い盲目になる人が増える

生計を立てるため、三味線を弾く人が増える

三味線に張る猫の皮が大量に必要となる

猫が減る

ねずみが増えて桶をかじり壊してしまう

桶が売れて桶屋が儲かる...

というわけ。

要は、「まるで無関係に見えるのに、因果関係があること」という意味ですね。

僕が“自分の店をやろう”と決意を固め、場所をどこにしようか悩み、数あった候補
西宮北口・JR西宮・阪神西宮・仁川・阪急塚口・西中島・・・

上記6つ以外にも幾つかありましたが、最終的に西中島に決めた時に浮かんだ言葉が

この“風が吹けば桶屋が儲かる”でした。

直近に働いていた店の近所という事で少しだけ知ってはいましたが

オフィス街に囲まれた小さな繁華街というイメージだったので

風が吹くこともあるだろうと。

 

風が吹く

セクハラ部長のヅラが飛ぶ

笑った部下が新大阪にトバされる

友達のいない街で引きこもる

開き直って友達探しに街にでる

見つけた友達と酒場へ行く約束をする

僕のBARで酒を呑む

おぉ!いいじゃないか!!

 

雨が降ったらどうしよう

雨が降る

夜のおねいさんのご自慢巻き髪が湿気でまとまらない

イラついて新人に当り散らす

同僚の女の子に泣きつく

自分の派閥のおねいさんに報告する

派閥に引き込むために連れ出して慰める

僕のBARで酒を呑む

おぉ!いける!!

 

槍が降ったら…

槍が降る

そこに混ざった不思議な矢が僕にささる

刺さった僕は死にかける

まだ見ぬスタンド能力が目覚める

僕のスタンドが…

アホか。

 

そんな具合?でいけるかなと思い

西中島に店を構えて1年以上が過ぎた訳ですが

今日も風は吹いている!雨も降っていた!だが僕のお店では閑古鳥が鳴いている!

 

2月前半は思っていた以上に頑張れたが、後半は思っていた程には頑張れなかった。

厳しい現実は厳しいままに、厳しい綱渡りが続く。

不思議な矢が僕に刺さる事はあるまい

他力本願では駄目だ。

もう少し“桶屋BAR”としての在り方を考えよう。

新大阪にトバされた若い会社員の為にも!当り散らされる新人ホステスさんの為にも!

てか・・・

自分の為にやれバカ!

脳ミソに1本の皺もない駄文をつらねてる場合じゃない

切り替えてご機嫌にやっちゃうぜぇ!!!

 

~冬の夜 閑古鳥鳴く 店内で 因果を断ちて 我が道をゆく~

文章も酷いが短歌になっとらんなこりゃ・・・

 

2013 3 2 10:19

須藤 利浩