先日ウイスキーの蒸留所に行ってきました。
実はまだ“バーテンダー”を生業とする前に行ったことがあったのですが、知識を得て行ってみるとまた違う面白さがありました。
製造工程の説明も見学も昔と違って、ほぼ解るだけに感じ方が違うのは当然ですが
貯蔵庫に入って・・・
前に来た時はどう感じたのかを思い出せない。
無駄をすべて削りとったようでありながら、ほのかに香るウイスキー特有の香りのおかげか無機質な感じは一切なく、自然と頬が緩み、口角がわずかに上がる・・・
今この瞬間!!
“時が止まっているかの錯覚”と“確実に流れる時を掴む感覚”の曖昧な融合。
1秒単位の過去と、今の自分。確実に訪れる1秒後の未来を受け入れる。
そんな自分の目の前に規則的に積まれた全ての樽の中で、音もなくウイスキーたちが1秒1秒時を刻み、1秒1秒熟成という進化をしていく・・・
僕は笑う。
理由はない。なぜなら頭の中が空っぽだから、思考がないのだから。
誰とも共有できない“自分の時間”という、おそらくは錯覚・・・
10分程度の素敵な時間でした。
時間は有限であり、誰にも平等という。
それはそうだろう。誰にとっても1日は24時間であり、僕たちは皆、1歩1歩“死”に向かって歩みを進めている・・・
ただ“時”を濃密にする事は可能だ!
樽の中のウイスキーが樽の成分を吸収するように、色々な物に、人に影響を受けながら
ウイスキーが“エンジェルズ シェア”といわれる蒸発をするように、誰かに与える目に見えない影響に感謝してもらいながら、感謝しつつ
ウイスキーのように1秒1秒熟成という進化をするために
“時”に支配される事無く、“時”を掌握し、自分を取り巻く“時”を濃密にする・・・
2012 2 17 5:33
須藤 利浩