帰り道

早いもので新大阪・西中島エリアで働き始めて7年が経ちました

ご存知の方もいると思いますが僕はやたらと国家権力の人に声をかけられます(いわゆる職務質問ね)

彼または彼女らは決まって上から目線で且つ犯罪者扱いで話してかけてきて

“ポケットの中の物をだせ”と言ってくる訳ですが
(最早カツアゲですよ)

2015は始めて職質されなかった!!

とはいえまあ色々とある訳で・・・

 

ある日の帰り道

信号待ちをしていた僕の右側からきた自転車の上からただならぬ視線を感じた

警察だ!

失礼と言って差し障りのないほどに僕をジロジロと見ながら通り過ぎようとしている

10代の小僧でもあるまいし

“目をそらしたら負けだ”

などという感情はとっくの昔になくしているので視線をそらしたが気にはなる

何気に視線を戻すと通り過ぎながら首だけ振り返りまぁ~だジロジロと見てやがる

何度も視線をそらすのも不自然だし睨みつけて挑発するつもりもない

僕は生ゴミでも眺めるかのように興味なく見送った(実際のとこ全く興味はない)

おおよそ限界まで首をひねりジロジロと眺められ

“はぁ、また職質か”

と思った刹那彼は前を見て行き過ぎた

ホッとした僕の前を続けざまに通り過ぎた後続の2台の自転車の上には

数ヶ月前に 不当に自転車で追い掛け回してきたあの時の警察官がいた

“お前らか”

と心で呟き思わず見上げた空は唯々青かった

“何でこんな煩わしい想いをせんとあかんねん”

と僕の足取りが重たくなった

 

ある日の帰り道

その日はひどく寒かった

営業後店で堕ちてしまい寝起きでぼんやりしていた僕の目に飛び込んできた景色は

パチンコ屋の開店前の行列だった

この寒いのに大変やなぁ~

と、思っていると慌てて店員らしき男が走り寄って来て言った

“すみません!並んでますので!!”

いやいや見たらわかるから

なんや俺は列にも並べない無法者に見えるのか?
もしくは並ぶという習慣のない国籍の人に見えるのか?

なんだかなぁと思いながら無言で通り過ぎようとした僕に店員らしき男は

“最後尾はこちらです”

と若干慌てながら並ばせようとする

いやいや帰るから

心の中で言いながら彼の声を背中でやり過ごし

僕の足取りが少しだけ重くなった

 

ある日の帰り道

それは日曜日の昼下がり

いつもの如く営業後に店で堕ちてお腹を空かせた僕はJR尼崎駅で電車の遅れに遭遇した

メドのたたない“待ち”ほどバカバカしいものはない

とりあえず駅をでて王将にて餃子&ビールという極上タイムを経て

歩いて帰ろうとご機嫌でセブンイレブンにて缶ビール500mlをレジに持っていったのだが

店員は袋に入れる気配がない

訝しげな表情を浮かべる僕に負けじと訝しげな表情を返しながら

“袋いりますか?”

と尋ねてきた

おいおい日曜の真昼間にビールを裸で持たすのか?

そこは黙って袋に入れとけよ

どーかしてるぜと思いながら店をでて10秒袋から取り出したビールを開けた

確かにすぐに飲むけどよ、君の勘は正しかった訳だがその目に僕はどう映ったのだ

とどうでもいい事を思いつつ1口ビールを口に含んだその時

突然颯爽と現れた自転車とすれ違った

“マジか!可愛い!!”

ほんの一瞬の名も知りえぬ美女との邂逅

当然何かが起こる事はないが何となくバツが悪い

 

まあいいやとりあえず家までは一駅無駄に歩く故たっぷり30分はかかる

空になった空き缶を持ったままぼんやり歩いていると酒の自動販売機が

自販機でビール買うのも久々やなぁと1本所望していると

お囃子の様な祭りらしき音が近づいてくる

構わずビールを呑みながら歩いているとチビッコだんじりに遭遇した

子供の頃引かせてもらえなかったヤツだ

と、数人の母親らしきオバさん達が代わる代わる子供と僕の間に身体を割り込ませる

おいおい取って食うようにでも見えるのか煩わしい

ゲンナリしながら歩きつつもまだまだ家までの道のりは遠い

 

2本目のビールも空になったのでまたまたコンビニへ

3本目の500缶を開けて口をつけたところで二人乗りの自転車が追い抜いていった

すると何が珍しいのか後ろに座ったチビッコが視線を外さない

“15年もすれば君もできるから焦らなくていいんだよ”

自転車の速度で遠ざかるチビッコに

ニコリともせず心の中で呟いた

 

3本目の缶の重みがなくなり中身が心もとなくなってきたところで

いよいよあの門を曲がれば僕の家が見える

今日も仕事だから少し寝たら店に行かなければならない

家が近づくに連れて足取りが重くなる

と、その時ある考えが浮かぶ

“もう1本呑んじまうか”

起きた時にしんどいのは起きた時に考えればいい事だ

今をご機嫌にするには酒がいる!!

僕は家の前を通りすぎ

足取り軽くコンビニへ向かう

 

2016 2 25 6:58

須藤 利浩

 

 

 

 

 

月とボウイと無人のカウンター

デヴィット・ボウイが死んだ

そして僕はまた1つ歳をとった

初めて歳をとるのを“イヤダ”と思った・・・

 

背中に住んでるちっちゃいヤツが騒ぎだす

立ち並ぶ煙突が大声張り上げ叫んでいる

“時間は無限じゃない!有限だからな!”

と言ってくれたあの恩師は今や夢幻

“時間”が希薄になっている感覚は“なっている”にしているだけのオハナシ

話にならないオハナシ

 

残された時間はいかばかりか

僕と墓石の間に横たわる時間を無駄に削り取った5年間

新しい言葉は未だ見つからない

輝いて見えるのは月世界の白昼夢

スターマンはニヤリと笑う

彼の待つ宇宙は遠すぎて僕には彼の光が見えない

 

どこへ向かおうか

意味のないつぶやきは煙草の煙と共に消える

それは簡単な事じゃない

君が先導してきたあらゆる不思議について考えよう

無人のカウンターを目の前に

病みは闇となり目を開くのを諦めた

 

絶望からの脱却は

暗闇と恥辱の歌が聞こえる

歌は終わることなく夜通し鳴り響き世界が裏返る

ありとあらゆる僕を抱えたまま

眠りに堕ちる事なく恋に落ちる事なく

君の意志のままに地に堕ちた

 

精神崩壊制御不能

屈折する星屑は自尊心を愛し

僕の心にだけ引き込ままれていった成れの果て

もたれかかるな

寄りかかるな

お前には味わう時間がないじゃないか

 

何かしらの決断を

たとえ何であろうと誰であろうと

あなたは存在していたはずだ

たとえいつであろうとどこであろうと

あなたは見ていたはずだ

すべてを受け入れてすべてを終わらせよう

 

背中に住んでるちっちゃいヤツが騒ぎだす

シニカルなセリフを探せ

偽善を捨てろ

感謝さえ伝えられない末期症状

たったそれだけの事

それでもどうにかして僕は僕を救う

 

 

2016 1 20 12:42

須藤 利浩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛 流浪の果てに~これでいいのか?それでいいのだ!~

ずっと欲しいものがあった
そんなに難しい事じゃないと思っていた・・・

 

熱気を帯びた生暖かい風はいつの間に

冷めた乾いた風を纏い身も心も凍えている12月

皆様のおかげで来週BAR CLAYMOONは4周年となります

4年!!僕を取り巻く風景は随分と様変わりしたようだ

お客様の顔ぶれ、周りのお店の状況、懇意にして貰っている人々の事情

そんな中で取り残された感覚に襲われ変われない僕がいる

 

ずっと欲しいものがあった
そんなに難しい事じゃないと思っていた・・・

 

昔から思う事であるが幸せに順番はない

なれる奴からなればいい

自分の知り合いが幸せになるのを目の当たりにするというのは幾人見送ってみても気分は上々だ

他人である故“羨み”を感じる事もない

ただ・・・

自分が行くことはない

いつぐらいからだろうか最早行ける気すらしなくなった

 

ずっと欲しかったのはほんの少しの心の癒し

いつ失くしたのか?ハナっから持ち合わせてなかったのか?

心の回顧に意味はあるまい

現状ないものはどうしようもなく影も形も全くもって見えない

そんなに難しい事でもない気がするのだが

漆黒の闇の中にどこまでも沈み込み

いつまでも同じ場所に佇んで途方に暮れる僕がいる・・・

いや“いた”というべきか

 

それはあまりにも突然であった

ある日見ていた動画ではしゃぐポメラニアンに心を射抜かれてしまった

そうか!ホモ・サピエンスに癒しを求めたのがそもそもの間違いだったのだ

だいたい昔から“たぬき顔のタレ目が大好き”などと宣っていた訳だが

そんなもんまさにポメラニアンやないかーい!

 

めっちゃ欲しいものができた
少し頑張れば手に入る!!

 

さあポメラニアン貯金を始めよう

僕の“癒し”を探す旅はそろそろエンディングに差し掛かりそうな気配を見せ始めた

遠かった怖かったでも 時に素晴らしい

夜もあった 笑顔もあった どうしようもない 風に吹かれて

生きてる今 これでもまだ 悪くはねーな

流浪の果てにやっと見つけた愛はやっぱりたぬき顔のタレ目

ポメラニアンだったのか!

ん” ~ ~ ~

ほんとにそれでいいのか?

いやいやこれでいいのだ!

 

という訳で来週の週末18日と19日はBAR CLAYMOON 4周年でございます

今年は1人なので特に何をするでもありませんが

来て頂けたら本当に嬉しいのでポメラニアン購入までの心の癒しに是非ご来店下さい

そしてポメラニアン情報があれば教えて下さいな

よろしくお願いしまーす♪

 

2015 12 11 9:42

須藤 利浩

 

 

 

 

 

区切りと割り切り、その愛を貫け!?

今更ではあるが2014はハッキリ言って録でもなかった

仕事、プライベート共に何の形も創れず

唯々無駄に1つ歳を重ねたとしか思えなかった

 

終わった事は仕方あるまい

何を言った処で時間が戻るわけでもあるまいが

こんな釈然としない気持ちは早々に捨て去りたいものだ

ただ人というものは、またその感情というものはそんなに簡単に出来てるものでもない

負の感情はその後ろ向きさ故

心の奥の方にべったり張り付いて中々消えてくれなかったりする訳だ

 

そんな時に便利な“区切り”というものが誰にでも少なくとも2つはある筈だ

そう!誕生日と正月!?

それに加えて我がの店を始めた自分にとってはお店の誕生日となる周年

この3種の神器的な日こそ色々と自分を“割り切る”好機となる訳だ

 

が・・・

周年は例年通りの失態に膨大な“自己嫌悪”を抱え込んでしまった

正月は“携帯電話からの解放”は出来たが疲れ故か唯々寝て終わってしまった
(16時間睡眠とか何年振りやったやろ)

誕生日もまた例年のごとく暇過ぎる我店にて渇ききった苦笑いしか生まれなかった

なかなか困った事になっていた訳ではあるが

ここは今週末のビッグイベントで気分転換をはたしご機嫌になろうではないか

 

最初に出会った時の衝撃

時折見せられた憂いに満ちた意外な素顔

まだまだ底を見せない若さ故みるみる増していく君の魅力に僕は抗えるだろうか…

 

最初はそんなに気になる存在じゃなかった

でも君は見るたびに感動をくれた

そして気がつくと、どんどん好きになっている自分がいた

あの日の出来事で君がいなくなってからそろそろ1年

やっぱり君の魅力は変わらない

 

さぁ僕はどちらを選べばいいのだろう?!

この際両方!!

いや、それは男としてどうかと思う

いかに若くて魅力的だから心を惹かれそうになったとはいえ

あの時の僕の想いは本気だった筈だ

男ならやはり浮気はせずに最初の愛を貫くべきであろう

いろんな事を言う奴がいるだろう

いろんな不利があるだろう

それでも君よ小娘如きに負けるないでおくれ

僕の想いは君と共にある・・・

 

ってな訳で決まりました

2013ダービー馬キズナからハープスターへ馬単1点 4→8

少しだけ購入してこの週末のビッグイベント

第108回京都記念(G2)~キズナ復活祭~

に参加してみようかと思います

 

あ!チョコレートなやつは全くもって縁がないので当然スルーする事になるでしょう

あぁ~今日も暇になるんかなぁ

まぁいっか

慌てない慌てない

一休み一休み

 

2015 2 14 14:45

須藤 利浩

僕の子供の子供の子供のずっと先の子供の為に

先日あるお客さんと何となく話していた時

この仕事(バーテンダー)をしている意味について悩んでいた時の事を思い出した

誰が言ってくれた言葉だったかは残念ながら覚えていない

“こんなデジタル化した世の中だからこそ人間力っていうのかな?そういうアナログ的なところに帰ってくるんじゃないかな”

当時の僕を救ってくれた言葉

そう思う事で今日までバーテンダーとして頑張ってこれた気がする

と、少しばかりセンチメンタルに浸りかけた僕の気持ちは

“デジタル化しすぎていくとこまでいっちゃった感じですよね”

というお客さんの言葉に引き戻された

確かに30年前辺りと比べてみると随分と変わった

今やほとんどの人が自ら携帯電話を持ち、インターネットとやらで世界中の人とタイムリーに繋がれたりもする

凄い進歩ではある

が、いくとこまでいったかというと甚だ疑問ではある

 

人は未だ宇宙空間を制圧したとは言い難く

火星のテラフォーミング計画は害虫の王の妨害にあい?

スペースコロニーでの生活どころかサイドワンのメドも立たずザビ家によるジオン公国は未だ影も形もないではないか?

幼い頃、未来と言えばロボットの世界を思い描いていたが

ロボットの実用化もまだまだずっと先の話であろう

いや!この進化のスピードを考えるならロボットの世界は案外近い将来に実現するかもしれぬ

僕の子供の子供の子供のもうちょい先の子供が生きている時代は

ロボットが溢れかえる世の中になっていよう

そうなるとやはりその性能、頭脳等からいって愚かな人間がロボットに支配される世界になるのは火を見るより明らかだ

 

僕の天邪鬼っぷりを引き継いだ僕の子供の子供の…が

おとなしくロボットの言う事を聞いているとは思えない

恐らく地下レジスタンスの一員としてそれなりに頑張ってはいるのだろうが

引っ込み思案で控えめな僕の子供の子供の…が“リーダー的な事”をしているとも思えない

いち戦闘員として日々を送っているであろう彼に想いを馳せてみるに

親の親の…としてはできればそれなりの活躍はしていて欲しいと願う訳で

北斗○拳に登場している様な

顔にセンスのないペイントを施し髪をモヒカンで固め“ひでぶ”だの“あべし”だのと残念な断末魔の叫びをあげながらアッサリ殺される

そんな一生で終えるのは親の親の…としては忍びないではないか!

子供が出来たら野球をやらせて20年後には契約金1億円♪

などと密かに企んでいたのだが

なんてこった野球なんぞやらせている場合じゃぁない

特に身体能力が優れてる訳でもなく、特に喧嘩が強い訳でもなく、特に人としてのメンタルが強い訳でもない僕の子供の子供の…が人様のお役に立つ為には?

肉体的にもメンタル的にも逞しくなる必要がある

って事は何かしらの武道をやらすべきではなかろうかと思った次第でございます

 

僕の子供の子供の…であるなら基本的には地球人という事になる

途中でサイヤ人の血が混ざるかもしれぬとはいえそのような不確定要素に頼っていると早死にする事になる

相手はロボットであるならそれなりの素材で造られている訳だから打撃系ではオハナシにならない

ここは親の親の…の希望も入ってしまいますが

心身共に鍛えるというのならやはり剣術をおいて他にはあるまい

できれば飛天御剣流ぐらいの無敵なヤツを習わせたいものである

という事ならば今僕がすべき事は…

 

家宝にひと振りの刀を買おうじゃないか

漫画の世界じゃあるまいし、両手と更に口に咥えて3刀流なんて事にはなるまい

君に届けと願いながら特別なひと振りを用意しておこう

長曽根虎徹?和泉守兼定?はたまた菊一文字…

いや!駄目だ!そんな非常識な未来に常識的な刀では対処できよう筈もない

よし!斬鉄剣を手にいれよう!!

来るべき未来においてこんにゃくが斬れない事は致命傷にはなるまい

今この現代ですら絶滅した武士となり

“またつまらぬ物を斬ってしまった”と言いながら

人類の明日の為にバッタバッタとロボットをなで斬っておくれ

僕の子供の子供の子供のずっと先の子供の君に

今それだけを望む…

 

 

さぁ~て今日から斬鉄剣貯金始めるぞ~!!

と、まずは君の親の親の親のずっと前の親

所謂僕の子供をつくらないとね・・・

 

君が為 未来を照らす ひと太刀に 先祖代々 紡ぎし思ひ

なんのこっちゃ・・・

 

2014 11 10 7:45am

須藤 利浩

 

 

 

 

 

 

冬に生まれた春は梅雨を世界の豪脚で切り裂き9cmの歓喜は初夏の空に登るのか消えるのか・・・

さっき買ったばかりの赤い箱から1本抜き取りくわえながら考えた

 

誰が言ったか“春の欝は根深くタチが悪い”

北風に晒された鬱屈した心情が凍えた“負”を抱え込み

凍りつき幾重にも重なった欝が春の陽気で溢れ出す

 

安物のライターの渇いた機会音は1度で決まらず2度3度

 

あらゆる生命の息吹は始まりの鐘を鳴らす

蠢く春が目を覚ます

ありとあらゆる春が密かに欝を裏に秘め

知らずいつの間にか心は闇に侵食される

 

目の前の炎をしばし眺める空っぽを実感する数秒間

 

今ここは、正気と狂気の分岐点

狂気は桜と共に散らせばいいさ

いつも通りの予定調和は

花粉症の自覚によって崩壊した

 

肺の隅々に行き渡る何の意味も持たない煙

 

広島カープの快進撃がもたらした

ここ数年感じる事の出来なかったまさに僥倖

唯一感じ得た春らしい痛快さは

案の定3ヶ月ともたず

唯々ストレスを供給してくれる

 

吐き出された煙はカウンターの上を滑るように流れる

 

今年ほどドラマチックな日本ダービーはあっただろうか

橋口調教師積年の夢

既定路線とさえ思われた

ダンスインザダークによる武豊ダービー初制覇というシナリオが

フサイチコンコルドの音速の末脚に屈しておよそ20年

幾度となく苦杯を舐めながら

新潟事件により騎乗依頼が激減した大崎に手を差し伸べ

目を患い終わったとされた上村に手を差し伸べ

自身の管理馬リーチザクラウンが2着という悔しいレース後

同レースをロジユニバースにて制した横山へ真っ先に“おめでとう”と駆け寄ったという

時として残酷と感じさせる時間はリアル

留まることなく容赦なく流れていく

定年までに残されたチャンスは2回

 

流れゆく煙を眺めていた筈がいつの間にやら煙に包まれていた

 

ワンアンドオンリー~唯一無二~

横山に導かれ魔法のようなレースをした彼が抜け出したのは

レースであり惜敗の歴史であり歓喜の扉の向こう

事実は小説よりも奇なり

その名の通りの悲願がもたらされたのは

氏の人柄による必然か

 

吸い込む度に加速する灰に覆われた橙の光はおおよそ半分

 

歓喜の余韻の残る梅雨空の東京

降りしきる雨は波乱を予感させる

世界一の称号はアクシデントを逆境を跳ね返せるのだろうか

ゴール前であがく彼を悲鳴と怒号が包む

誰もが諦めかけたその刹那

炸裂した世界の豪脚は前を自らの誇りを捉えた

その差わずか9cm

 

最後の煙を吸いそしてそっと吐き出した

 

梅雨が終わる

夏の匂いを感じる

とめどなく汗が流れセミが哭く

諦める事のできない僕の気持ちはくすぶったまま

相も変わらず遠回りをしながら寄り道を繰り返し

自分らしさと自己嫌悪の間を揺れ動く

仕方なかろう

人は最も大切な本心の元に従順でしかいられないのだ

 

もみ消した煙草から苦しげに漂った煙は瞬く間に目の前の空気に紛れ込んだ

1本の煙草を吸い尽くすまでの無駄な時間

振り返ってみたこの半年間はその程度だったのかもしれない

せめて年末はバーボン片手に煙草1箱

一晩語り尽くす程度にはしたいものだと願いつつ

自虐な笑いを振り切って僕は席を立った

さぁ帰ろう

今日を終わらせよう

そして起きて

明日を始めよう

 

2014 7 15 10:30

須藤 利浩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月が綺麗に見えたから

月が綺麗に見えたから

あの娘の笑顔が見たくって

 

月が綺麗に見えたから

今日は歩いて帰ろうか

 

月が綺麗に見えたから

コンビニ寄って酒買おう

 

月が綺麗に見えたから

買ったそばから呑んじまおう

 

月が綺麗に見えたから

あの娘の声が聞きたいな

 

月が綺麗に見えたから

遠くで仔犬が鳴いている

 

月が綺麗に見えたから

黒猫の影に目もくれず

 

月が綺麗に見えたから

風の流れがよく見える

 

月が綺麗に見えたから

あの娘に連絡しようかな

 

月が綺麗に見えたから

街灯の灯が寂しげで

 

月が綺麗に見えたから

自分の弱さが身にしみる

 

月が綺麗に見えたから

不安もなんか暖かい

 

月が綺麗に見えたから

あの娘とお酒が呑みたいな

 

月が綺麗に見えたから

今の自分にこだわろう

 

月が綺麗に見えたから

いったん楽になりましょう

 

月が綺麗に見えたから

それで自分を保てるか

 

月が綺麗に見えたから

あの娘にサヨナラ言い出せず

 

月が綺麗に見えたから

眼前広がる静けさは

 

月が綺麗に見えたから

見たこともない海の底

 

月が綺麗に見えたから

そこでは全てが闇の中

 

月が綺麗に見えるけど

まだまだ蒼くは見えないな

 

月が綺麗に見えたから

歩いた先には何がある

 

月が綺麗に見えたから

悲しい気持ちが溢れ出す

 

月が綺麗に見えたから

意味はないけど笑ってよう

 

月が綺麗に見えたから

あの娘の面影想い出す

 

月が綺麗に見えたから

壊れた僕は捨てて行こう

 

月が綺麗に見えたから

何かを拾って持って行こう

 

月が綺麗に見えたから

磨けば綺麗になる筈だ

 

月が綺麗に見えたから

あの娘は何をしてるだろう

 

月が綺麗に見えたから

もう少しだけ酔っちまおう

 

月が綺麗に見えたから

千鳥足でも構わない

 

月が綺麗に見えたから

優しくなれる気がしてる

 

月が綺麗に見えたから

あの娘も月を見てるかな

 

月が綺麗に見えたから

昨日を思って凹んでる

 

月が綺麗に見えたから

今の憂いを嘆いてる

 

月が綺麗に見えるから

明日は希望に満ちている

 

こんなに月が綺麗な夜は

壊れた凍えた感情も

希望も憂いも愛しさも

心の奥に仕舞い込み

自分の吐いたため息の

白さになんかホっとして

次の休みは時間を創って

あの娘の笑顔に逢いに行こう

 

2014 1 31 10:45

須藤 利浩

 

 

大台かぁ・・・

恐らく30代最後のブログって事になりそうな

私事ではありますが12日で40歳となってしまう訳です

10代の頃のハタチ、20代の頃の三十路共に別段何の感慨もなかったのですが

40は重いような…

なってしまえば何も感じる事はないのかもしれませんが

何となく引っかかるには理由がある訳で

それには心当たりもあったりする訳で…

 

先日、親父の会社の友達だったという方が2人でお店に来てくれました
(親父はもう引退?していますが)

自分が生まれる前からのお友達で

今でも年に数回は親父と一緒に呑んでるとの事

風来坊は次男坊

そんな言葉があるのかどうかは知りませんが

自分は次男坊でかなりの風来坊でした

“君は次男の・・・な子だよね?”

とまぁ割とロクでもない事まで知ってる風な口ぶり

そして“残念”と言わざるを得ないのかもしれませんが

息子とはそうゆう物らしく

親父はこんな次男坊にもそれなりに期待をしていたらしい

そう!引っかかっていたのは40手前にしてまともに“親孝行”をしていないなという事

最近よく考えていたところだったので心苦しさしか感じない

“最近親孝行について考えてはいるのですが”という自分に

「君は何を言ってるの?1番の親孝行は孫の顔を見せてあげる事だよ!」

~ ~ ~

そりゃ無理だぁ!!

一人で出来ないもの!!!

 

数日後、無事にBAR CLAYMOON2周年をさせて頂いたのですが

西宮で働いていた頃の懐かしい人が訪ねてくれました

50歳になったという自称幼女好きのNさんは

FBにて交わした約束通り

無理やり貰わされたNMB48の劇場版CDをプレゼントすると屈託なく喜んでくれました
(自分は“~48”的なヤツには何の興味もございません)

この50歳と39歳の独身コンビのやり取りを見ていた

これまた西宮時代にお世話になった47歳の美容師Uさんが口を開いた

「いやいや自分ら結婚はした方がえーで」
「はぁ」
「俺も昔は解らんかったけどや」
「はぁ」
「最近やっと結婚ちゅーもんが解った気がするねんけど・・・」

ん?真面目な話か?

 

Uさんは10年ぐらい前に大阪の自宅とは別に借りていた職場近くのマンションが

当時自分が働いていた店の近くでたまたま呑みに来てくれたのが縁で

仲良くさせて貰うようになったのですが

その時、既に既婚者であったにもかかわらずたまに彼女を連れて来てくれてました

時々手首に包帯を巻いていたその彼女の“激しさ”は半端ではなかったらしく

目の前でガラスは叩き割る、それを握りしめる、それで手首を切る…

ある日電話の向こうで発狂したように切れまくる彼女の話を聞きつつ

物に当たり散らし色々な破壊音を聞かされながら

こいつ部屋大丈夫やろか?とぼんやり考えながら怒りをやり過ごし

自分の部屋に帰ってみると破壊行為の現場はそこだったという

その彼女と別れたと聞いた後

しばらくして髪を切りに行った時には

“須藤くん、とうとうダブルスコア超えてもたわ。今度の彼女?歳やねん”

と少しだけ笑いながら言っていた基本的に物静かなUさんは

“結局結婚生活は経済力やで、生活費渡してたら平和なもんや”

と笑う事なく悟すように語っていたのだが

数年前“ギランバレー症候群”になり死にかけたらしい

8ヶ月もの入院生活

寝たきりのUさんを献身的に支えていた嫁はある日Uさんのお母さんの

“大変な思いさせてごめんなさいね”

というUさんの心の声の代弁に対してニコリともせずに言い切ったという

“いえ、嫁ですから”

 

“俺死にかけたやん、

その時嫁にはめっちゃ支えてもらって

何回もこいつは凄いなって思って

最近はちゃんと家に帰ってんねんけど

嫁がめっちゃ笑うんよ

付き合いだしてからで言ったら25年ぐらいかな

こいつこんな笑うんやなぁってなって

気がついたら俺も笑ってんねん

あぁ~結婚って言うのは2人で笑うって事なんやなぁって思ってや

1人で笑うのもいいかもしらんけど

2人で笑うっていいで

あっ須藤くんこれブログに書きーや!”

はい、ありがたく書かせて頂きました

すごく素敵な話やと思いました

 

さて、自分は1人で笑いたいのか

それとも2人で笑いたいのか・・・

正直まだ解りません

2人で笑いたくなったらもうちょい焦りだすのかもしれませんし

もう手遅れな可能性もありますしね(笑)

勿論間に合ううちに何かしらの親孝行はしときたい

ただまぁいずれにせよ相手のいる事ですし

現状相手のいない自分は深く考えてはおりません

ってより深くは考えれません

が・・・

40手前のこの多感になってる時期だからこそ

色々な人の色々な言葉が胸に響いた事

それだけは確かなようだ

 

2014 1 7 12:12

須藤 利浩

 

 

 

 

 

2013総括

今年の営業は終わり

ありがたい惨劇を乗り越え・・・たのか?

ナイルパーチと今まで呑んだくれ

もうちょいとだけ呑んだくれる予定ですが

正月は実家に帰るか帰らないか迷いつつ

“じゃりん子チエ”観ながら1人で鍋して呑み、1人でお好み焼きして呑み…

ってとこでしょうかねぇ~

まぁ例年同様のアルコールと睡眠のみという寝正月というか酒正月というか…

不毛というなかれ

手際の悪さ、要領の悪さ、間の悪さ、頭の悪さ、顔の悪さ、性格の悪さ…

っておい!言い過ぎや!

なんしか思うように休みがとれなかった自分には貴重で楽しみな時間なのです

ただ、その前に感謝と反省を感じつつ2013を振り返ってみようかと

 

今年は去年と違いどうにか“周年”というものをさせて頂きました

来ていただいた皆さん

本当にありがとうございました!!!!!

14日15日の2日間という事でしたが

週頭からちょこちょこと来て頂き感謝しつつ1日目の3:00amには潰れるという失態に…

2日目は富樫に歌って貰いつつ久々にヒッキーと働きましたが

たまに誰かと働くのは楽しいですね

去年の退院明け同様に今年も同業の先輩方にお世話になりつつ
(年下が圧倒的に多くなってきた…)

昔働いていた色々な店の久しぶりに会う人とも結構会えて懐かしさを噛み締める2日間

翌週に“来れなかったから”という残り香もまた素敵な感じでした

反面、まだまだやな~と思う事も多かった…

まぁお客様に来て頂いて成り立つ職種ですから

来て頂けるように何ができるかを掘り下げていくしかないし

何やいってもどうにかこうにか寝正月だか酒正月だかを迎えられるのは

お客様のおかげなんで

感謝しかないんですけどね

 

2013は

“自分自身に対しての期待外れ”

ってのが全てかな

スタートは悪くなかったんですが

結果的に仕事もプライベートも中々ヒドく駄目ダメでした(苦笑)

前半かかり過ぎた故の末脚不発ってとこですか

まさにイブキマイカグラ!!

 

ただ自分が創り上げる人生ですから

まだまだ全部解るって事はありえないにしても

今年抱えた課題については色々と思う処もあるんで来年以降修正していきたいなと

先にも言いましたが自分の問題、自分の人生

自分に返してご機嫌に!

“振り向くな後ろに夢はない”って事ですね♪

 

凹んでる時間は食っちまおう

気に食わない形なら気にいるように変えちまおう

やれるかどうかじゃなくてやるかやらんかやねんて・・・

10代から20代前半にかけて

酒呑むたびにそんな事ばっかり言ってました

元来面倒臭い事が嫌いで

思いついたらとりあえずやってみる

どちらかといえばイケイケ行動派やったのに

最近は頭使うの苦手なくせに面倒な事ばっかり考えてしまってるような…

 

今1番意識している事は“覚悟”について

言い出せばキリがない程の自分自身の反省の大半は

全てそこに行き着く事になります

正しい間違ってる以前の問題として

2014は覚悟を決めてもうちょい自分に期待してやろうかと

誰が言ったか“断固たる決意”やね

それでまた年末同じ事言ってたらアホやし

それは全力で避けないと

 

2013は皆さん本当にありがとうございました

昔凹んでいた時に親友に言って貰った言葉

自分に厳しく
他人に優しく
生き方に誠実に
世間に感謝を

そんな感じでCLAYMOON3年目は何かしらご機嫌な形を創りたいなと

2014も個人、店共によろしくお願いいたします

それでは皆さん

良いお年を

べりーべりーストロング!!!!!!!

 

2013 12 31 17:52

須藤 利浩

 

 

 

チャンピオンはいずこへ

“チャンピオン”いい響きですね♪

チャンピオンがなぜ偉大かはボクシングを例にすると解りやすいですね

ランキングと言うのは順位であり1位はいる訳ですが実質は1位ではない

なぜなら1位の上にチャンピオンがいるのだから…

1位の上ですよ!色々な物や事を想い、背負い、成り立つものでしょう

 

数年前、働いていた店で2回目のアルバイト募集をした時

30人以上の面接をしたのですが自分の基準は割と明確でした

男ならソコソコに男前で面白そうな奴・女はズバリ可愛い娘・後は喋ってみた感覚

その時周りの反対に

“これは相談じゃなくて決定事項やから”

と1人だけフライングで採用したのがSでした

初対面から気が合ったのか面接は通常の3倍の時間を要し何故か雑談メインだった

Sは荷上げ屋という現場あがり故、叩いても叩いても潰れないメンタルの強さを持ち

仕事においても向上心が強く独自に“イタリアン巡り”をして引き出しを増やしつつ

趣味は“ナンパ”という底抜けに明るい人柄でみるみる主力スタッフとなってくれた

 

直後の降格人事によって“1スタッフと特別仲良くはならない”という

自分の中の決め事をなくした僕と
(この降格人事に1人憤慨してくれたのもSでした)

上記の経緯によって入ったSが仲良くなるのに時間はかからなかった

頑張りにギャラで応えてやれない心苦しさとSがすぐ近くに引越してきた手軽さで

ほぼ毎晩2人で呑んだくれるようになった
(まあオモロかったからって理由が大半やけどね)

そんなある日、いつもの如く最近の店事情についてバッチバチにダメ出しを…ってか悪口やなありゃ

本人曰く

“僕は女の胸部と局部の事しか考えてませんからねぇ~そら常に研ぎ澄まされてますから頭の回転は早いですよ”

という事らしい

最後に“結局みんなおもんないのが駄目っすよ”

と吐き捨てた彼に、ふと疑問を抱いた僕が訪ねた

「みんなおもんないって言うけどお前はそんなおもろいんかいな」
「そりゃ~僕はおもろいっすよ!」
「ふ~ん、例えばほな高校でい~や、学校では1番おもろかったん?」
「は?学校?そんなもん当たり前ですよ!」
「ほぉ~そら大したもんやん!ほな学校ではSって言えば割とみんな知ってたんや!」
「は?別にそんな事ないっすけど、そら僕が1番おもしろいですよ!」
「いやいやお前・・・」
「1番って事はチャンピオンですよ!おもしろチャンピオンですよ!」
「いやいや・・・」
「1年の時からチャンピオンでその時3年がいて僕が3年の時の1年がいるから僕は5期に渡ってチャンピオンって事ですやん!それから今まで防衛中ですからね!」
「いやい・・・」
「いや~やっぱ僕は凄いですねぇ~チャンピオンですからねぇ~これからは分かり易くチャンピオンって名乗らんとダメですね」
「・・・」

呆れかえる僕を尻目に一切笑う事なく真顔でチャンピオンを連呼していたSは

本当に至る場所・場面で誰彼構わず自らを“チャンピオン”と呼ぶようになった

因みに会話の流れで聞いたところによると

店で1番面白いのは当然Sでずっと離れた2番目に面白いのは自分らしい

理由は“使い勝手がいい”との事

いやいや、俺上司やで…

 

そんなSが店をそろそろ辞めようと思うと言い出したのは

肌寒い北風が吹く頃に2人で熱燗を呑んでいた頃だったか…

もうこの店で学べる事もないし魅力がない、店に魅力がないのはいいにしても今のすーさん全く魅力ないっすやん!

僕に止める理由はなく言い返す言葉もなかった

降格以降死んだようにただ“こなす”だけの仕事をしている自覚はあった

店の状況は色々と変わっていったが、それが悪い方向へ行っている事も感じていた

Sだけでなく何人かのスタッフに具体的なお願いをされる事もあったが

それでも僕は“立場”を言い訳に動かなかった

ただ、呑むたびにそんなやり取りを繰り返しながらもSが辞める事はなかった

理由は恐らく1つ。辞められると僕が困るから

役割上Sが辞めるとその負担はほぼ僕にかかってくる事は火を見るより明らかだったのだ

 

そして心地よい春風がうっすら熱気を纏い汗ばむ陽気な日が増えた頃

立場の問題で店近くの借りて貰っていたマンションを引払い

終電で帰るのがメインとなり少し減ったものの週の半分は2人で呑んでいたのだが

ある日店の現状の不満をブチまける僕に冷静に現状を諭すようにSが言った

“潰れないっすよ。だってすーさんいますやん。なんやかんや言って結局すーさんがやるんでしょ”

はっとした。目からウロコというやつだ

その通りじゃないか!じゃあ俺は何の為に働いてるんだ!

…居すぎたな…

 

何かを辞めるという事は時として何かを始める事よりもエネルギーがいる事がある

結婚と離婚がまさにそうだろう
(両方した事ないけどね♪)

そして真実は得てして想定しうる最悪のケースであることが多い
(例えば浮気とかね♪したことないけど?!)

“辞めよう”という想いを消せず迷いを抱えたまま生産性のない日々をおくっていた

その日は日差しが強く歩くだけで汗が流れ落ちる、空の青さは疑いようのない夏を告げていた

赤信号に行く手を阻まれ何気なく視線を移した僕の目に飛び込んできた景色…

近頃なんとなくおかしいなという違和感はあったが

次々発覚する想像以上の嘘と裏切り

絶望はなかったが全ての感情は怒りとなって溢れ出した

…辞めるしかねーな。望み通りだ…

 

最初に打ち明けた相手はやはりSだった

「S、すまん!俺辞めるわ!」
「マジっすか!僕が辞めるって言ってたのに先に辞めるとかないわ!」
「ん”…」
「すーさんいないなら僕おる意味ないっすやん」
「ん”~でももう無理やわ。これ以上いたらホンマのアホになってまうわ」
「まぁそらそうっすね。じゃあ僕も辞めますわ」
「・・・」

次の日僕は来月一杯で辞める旨を会社に伝えた

Sはそれなりの好条件を提示されたようだが
(僕の後釜的な役割として残したかったのだろう)

頑なに断り次月末日に二人して辞める事となった

 

辞めることが確定し引き継ぎ業務に明け暮れていたが

相も変わらず二人して呑んでいた

仕事後に居酒屋を経て、Sの家で呑んでいた時

まだ、たいして酔っていない筈のSが突然言い出した

「あっ僕この部屋来月で解約しよ!」
「え?ほなお前部屋どーするん?」
「大丈夫っすよ!女見つけて転がり込みます」
「マジか?見つからんかったらどーすんねん?」
「は?すーさんバカだなぁ~僕はチャンピオンですよ!」
「はぁ・・・」
「見つからん筈ないっすやん!」
「はぁ・・・」
「いや~やっぱり僕は頭いいですね~」
「・・・」

そもそも埼玉出身のSは安田美紗子に魅せられ

“京都の彼女っていーじゃないか!”

と、それだけで京都にきて彼女をつくって別れて大阪に流れて来たらしい

ありえない話ではない

が、僕は直感した

こいつ絶対俺ん家に転がり込んでくるな…

 

その後も色々あった

辞めた翌日に自分の人生において

恐らく唯一最初で最後になるであろう名前が無くなった日…255?!
(そら最後にしてほしいわ)

その原因を作ったのはSだったし

アルコールDAYと称して

平日の昼前から新大阪の駅で呑み

河川敷でLOVE SONGしましょう!というSの謎提案で

しこたまビールを買い込み淀川にて呑み&昼寝を経て

伊丹・夙川・甲子園口・JR尼崎と移動しながら呑んだくれること十数件

最後に何故か最寄りの隣駅からワンカップ両手に歩きつ呑みつ

歓喜の叫びを上げながら2人で我が家に辿り着いたその日から

予想通り奇妙な共同生活が始まった

一軒家に男二人お互いに仕事はない…

自分の人生の中でもかなり特殊な2週間ちょい

濃密といえば濃密な何もないといえば何もない唯々面白いだけの時間

急に東京で保険の仕事をすると訳の解らない事を言い出したSを駅まで見送ったのは

梅田のWINSにて二人、秋の天皇賞で撃沈した

文字通り肌寒い秋風の吹く頃だった

 

その後、Sは開店した僕の店に東京から数回来てくれた

去年の事故の際はSの保険のおかげで随分助かった

ただ、病院のベッドから連絡したきり約1年

Sとは連絡がついていない…

 

お~い!シノバよ!
お前と家で呑んだくれながらじゃりんこチエ観て名付けたクレイムーンは2周年やぞ!
めっちゃ厳しいしギリギリや!
いつまであるかわからんぞ?!
お前も厳しいかもしらんけどよ!
元気でやってるならえーけどや!
メールできへんのも、電話でれんのもえーけどや!
たまには連絡してこいっちゅーねん!!!!!!!

 

BAR CLAYMOON2周年14日か15日

いや他の日でもいーや

来てくれたら嬉しいけど…

無理やろなぁ~

チャンピオンはいずこへ行ったやら・・・

 

2013 12 10 6:24

須藤 利浩